小平市玉川上水を守る会編 |
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小説『玉川兄弟』 | |||||
「よどみなく走っています。先端はすでに拝島を通過。上河原から砂川 村にかかりました」。つづいて、 「ただいま水は、梶野村を通過中…」。 わあああと津波に似た喚声が、このとき上流から寄せてきた。 下へ、下へ、それは波打ちながらうねり、近づき 「水だ水だ、水が来た ぞう」水勢に巻き立てられてもうもうとあがる砂塵まで、歓喜して駆けま ろぶ先触れに見える。庄右衛門の全身を戦慄がつらぬいた。この一瞬 の陶酔のために、歯をくいしばった小一年だった。 この一文は、歴史作家の杉本苑子が昭和48年 (1973) の春から約1年 |
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