小平市玉川上水を守る会編



       『杉本苑子』

文化勲章受賞した直後の
杉本苑子さん。


中央公論社刊『杉本苑子全集』
歴史作家。大正14年(1925)6月26日、東京都牛込区(現・新宿区)若松
町生まれ。昭和24年(1949)文化学院卒。現在、熱海市在住。

作家活動としては、同26年「サンデー毎日」懸賞小説に『申楽新記』が
入選し、吉川英治氏に師事、長らく修業。

そして同38年、初の長編 『孤愁の岸』で直木賞受賞、文壇にデビュー
を飾った。他の代表作に 『玉川兄弟』 『鳥影の関』 『滝沢馬琴』 『新と
はずがたり』 『穣土荘厳』 『鳥影の関 』 『汚名』など。平成7年文化功
労賞に選ばれ、同14年に文化勲章を受章。

杉本苑子の歴史小説は主として 『孤愁の岸』 『玉川兄弟』など、武士
の世界に題材を置いた時代物と、 『滝沢馬琴』 『武蔵野の虹』 『大江
戸ゴミ戦争』 など、江戸の町人の生きざまを活写した世話物に大別で
きる。

『孤愁の岸』は、木曽川などいわゆる濃尾三川の治水工事「宝暦治水」
(宝暦5年完成 ) をテーマにしたもので、外様の薩摩藩が幕府から「軍
役」の形で河川の大改修を押し付けられ、多大な出費や人的被害など
犠牲を払うといr不合理を描いたもの。

『玉川兄弟』 も、上水の工事が下命でなく出願の形をとらされたがゆえ
に、工費で不足分が生じると、 玉川兄弟に私財をなげ打ってまで完成
させた幕府閣老のやり方の悪どさは、 今日のも通じる事を言外で鋭く
指摘、共感を呼ぶものとなっている。

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