平成8年(1996)12月、小平市内の玉川上水周辺は時ならぬヘリ
コプターの騒音で住民を驚かせた。
前年に起きた地下鉄サリン事件の実行犯として警視庁に逮捕さ
れたオウム真理教の林康男容疑者(46)の供実に基づき、猛毒の
化学剤「VX」が同月11日、小平市津田町先の玉川上水沿いで
見つかり、報道陣が殺到したのである。発見された場所はふだ
ん人通りの少ない「鎌倉橋」に近い樹木の根元だった。
この地下鉄サリン事件は前年3月20日午前8時頃、東京都心の
営団地下鉄(当時)の霞ヶ関駅に近づく5本の電車の中で、猛毒
ガスのサリンが発生。通勤客や駅員ら12人が死亡、 約5,500人
が重軽症を負ったものである。
オウムの実行グループ5人が乗った地下鉄3路線のうち、林容
疑者は日比谷線でサリンの入ったビニール袋を傘で突き刺し流
出気化させた。
同容疑者は事件後、市川市、京都市などを逃走。平成8年12月
3日、沖縄・石垣島で逮捕され東京地裁に起訴された。林被告
は一、二審とも死刑判決を受け最高裁に上告中 (平成16年9月
現在)である。
林被告が教団の最終兵器ともいうべき「XX」の液体の入ったび
んを、玉川上水べりの土中に隠したのは、事件直後の平成7年
4月で実家から近く土地勘があったためと見られている。
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