小平市玉川上水を守る会編



              玉川上水の植物』

玉川上水の水路、堤の植物は大部分が種子植物で、僅かにシダ
植物が自生する。植樹期の明らかな小金井桜、不明な桜、ツツ
ジ、イチイ等を除き、長い期間に隣接する新田開発区域の植物
類から、風、鳥、人間等のよる種子分布によって、伝播された
ものと考えられる。

武蔵野台地南端の稜線を掘割った水路の保全管理は水番人、持
場村制度や水衛所等により、監視、下草刈り等徹底されていた
記録等から、近代水道への移行後の管理の弛緩や薪炭生活、有
機質農法等の生活様式が現代化へと変化した等、その社会的背
景を受けた保全管理となったことから、現状の植生状況になっ
たと考える。

現在、玉川上水全延長に生息する植物の詳細な資料は存在せず、
正確な種類、数は不明だが落葉樹を中心に樹木は約230種以上、
野草は270種以上と推定される。

現状の植物における課題は、生息する植物間の生育共生の混乱
であり、高木(樹高8b以上) 亜高木(樹高2b〜8b) 低木
(樹高2b以下)草木類の4階層による、適切な日照の確保が、
特定の高木により独占され、日照確保不足の他の階層植物は枯
死、消滅の現象を多発し、玉川上水の特色である、多様な自然
環境の豊かさ、景観が失われつつあることである。





玉川上水堤の木立

キンラン ノアザミ

エゴノキ
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