現在、小平監視所から下流の玉川上水の水は、家庭雑排水に人間や
家畜の糞尿が混じった下水を、ポリ塩化アルミニウム(PAC)によ
る沈澱、塩素による殺菌、砂濾過、脱臭、脱色のオゾン処理を経て
放流された二次処理水である。活性炭による高度処理はしていない。
多摩川上流水再生センター(旧・多摩川上流処理場)は、この下水
処理水を玉川上水・野火止用水・千川上水に合わせて日量2万d供
給している。センターから玉川上水の放流口まで8.9`に直径70aの
地下管を33億円かけて埋設した。
通水3年後の平成元年から翌年にかけて、都環境保全局 (現・環境
局)が、新日本気象海洋(現・国土環境)に委託して水質を6回測定し
た結果、アンモニアや硝酸に起因する窒素分が非常に多く、大腸菌
もウヨウヨいた。通水当初は「清流」ということで、飲んだり顔を
洗う人もいたのに、これらのデータは隠された。
現在の下水道法や水質汚濁防止法のもとでの改善には限界があり、
恩田正行・北里大学名誉教授(薬学)の著作によれば、都下水道局の
データでも玉川上水は「大腸菌のエキス」。排泄物の中の病原性ウ
ィルスは 100種類以上あるのに、下水道法などに規制がないため測
量されていない。
有害化学物質、重金属類、発癌性のある有機塩素化合物は0とか0.1
mg/1(ppm=100万分の1)未満とあるが、ppb(10億分の1)、ppa(1
兆分の1)単位でも有害性を発現する物質がある。
|