小平市玉川上水を守る会編



『土木学会活動』

玉川上水の史跡指定実現にあたっては、歴史的土木遺跡の重要性が認識され、認知される必要があった。

文化庁は、平成2年(1990)から近代化遺産の調査をはじめ、土木学会でも翌3年以降、近代化遺産の全国調査を行った。

建設省は平成5年(1993)土木学会に委託して「歴史的・文化的土木施設の保存・活用に関する調査」を実施、その答申を得て文化庁は平成7年(1995)、史跡の指定基準を一部改正し、史跡指定の対象として貝塚、集落跡、古墳、城跡、戦跡などと並んで、「土木・交通、産業遺産に関する遺跡」が追加され、玉川上水のような土木建造物の指定が容易になる道が開かれた。

土木学会のメンバーらは玉川上水の保護・保全施策について東京都の諮問を受け、史跡指定に先立って「玉川上水保存管理指針答申書」をまとめた。答申書では保存管理区分の考え方、保全と利用の方法、水路管理のあり方、緑の保全方法を示すとともに、今後の課題として史跡指定について「維持、利用、活用、管理をセットにすることが重要であり、将来的には利活用を考えて地域指定範囲を拡大解釈する」ことをあげている。

また、土木学会で平成9年(1997)、中央大学で「土木文化財としての玉川上水」と題して、学者、市民代表らによる研究討論会を開催している。

土木技術を誇る玉川上水の水路
福生・宿橋付近



歴史的土木遺産でもある小川水衛所跡
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